イケウチな人たち。

by IKEUCHI ORGANIC

好きな人たちと考える、これからの豊かさ

イケウチな人たち。について

子ども達から借りている地球の未来を守るために、このタオルを香港に広めたい

- Cuddle Me 代表 Edward -

「文化背景、価値観の異なる異国においても、タオルを通じて『想いは同じだ』と心を通わせることができるんだ」と、この記事を書いている伊佐は、取材中から感動していました。

場所は、香港国際空港の出発ロビー2階中央。

アジアのハブ空港として、世界中から多くの人が訪れるこの場所において、香港人のエドワードさんが、IKEUCHI ORGANICのポップアップショップを開いてくれる日が来るとは。

香港国際空港出発ロビー

香港国際空港の期間限定ポップアップショップ「IKEUCHI ORGANIC Hong Kong by Cuddle Me」(現在はすでに閉店)

彼が経営する「Cuddle Me」は、IKEUCHI ORGANICを専門に取り扱う香港の輸入代理店。

設立は、2017年。新しく事業を興すために「信じられるオーガニックプロダクト」を探す最中に、IKEUCHI ORGANICを偶然発見。そこから彼の人生と仕事は動き始めたと言います。

勤めていた会社を退職し、起業・輸入を決意させるほど彼の心を震わせたものは、一体何だったのか?

『イケウチな人たち。』編集部は、IKEUCHI ORGANICを信じる彼の話を聞くために、海を越えて香港へ。

この記事では、香港のライフスタイル、そしてエドワードさんの未来への想いが垣間見られるインタビューをお届けします。

編集部は、一路香港へ

香港の暮らしを、まずは想像してみよう

「Cuddle Me」代表のエドワードさん

香港を訪れたことは、ありますか? 香港は、観光地であると同時に、世界有数の富裕層が暮らす経済都市としても有名です。

面積は、東京都の約半分ほどの1,106平方メートル。人口は約740万人。高層ビルが立ち並び、「100万ドルの夜景」の愛称で親しまれるビクトリア・ピークの景色は、息を呑むほどの美しさ。

ビクトリア・ピークの夜景

海が近い香港の暮らし

けれど、どの街も問題を抱えているように、香港にも改善すべき点はあります。私にとってのそれは、香港に蔓延している居住スペースの狭さでした。

香港は、世界トップレベルの地価に対して、平均賃金が見合っていないという側面があります。朝から晩まで働いても、香港で裕福な暮らしをするのに足りない。

たとえばですが、3~5人の家族が、25~35平米のワンルームで暮らしている様子って想像できますか? 玄関のドアを開けたら、複数のベッドがあって、あとは小さなシャワールームとトイレが並んでいるイメージです。

名著『深夜特急』にも登場する、香港のマンション群

一時は観光名所としても注目を浴びた、「モンスターマンション」の愛称を持つクオーリーベイ(現在は撮影禁止、写真は撮影禁止前の2017年当時)

僕の幼い頃の暮らしも、大体そんなものです。だから、ずっと「香港の暮らしを、もっと快適にするにはどうしたらいいんだろう?」と考えながら生きてきました。

でも、果たしてどうやって現状を変えるというんだろう? この潮流を変えることも、部屋を物理的に大きくすることも、僕個人では難しい。

そんな風に考え続けていたある日、「家の中で過ごす時間を、快適にするアイテムの提案だったらできるんじゃないか?」というアイディアを思いつきました。

「Cuddle Me」の事業は、「そのアイテムが果たして何なのか?」を探すことから、始まったんです。

IKEUCHI ORGANICとの出会い

取り扱う商品の分野として、オーガニックに目を向けた大きな理由のひとつは、娘が食品アレルギーを持っていたこと。

香港では食品表示のアレルギー成分の表記が不十分な商品が多く、アレルギーを発症してしまって、病院に駆け込んだことが何度もありました。

子育てをする中で、「香港の人たちに、安心で高品質なものを届けたい」という想いが芽生えていたんです。

でも一方で、香港ではオーガニック食品を取り扱う「シティースーパー(C!ty’super)」が人気を博し始めているように、オーガニック食品については少しずつ認知が浸透してきている現状もありました。

せっかく事業としてオーガニック商品を取り扱うならば、まだ香港の人々が出会っていない、新しいライフスタイルプロダクトを取り扱いたいと戦略を練りました。

試行錯誤する中で、妻が見つけてきてくれたのが、IKEUCHI ORGANICのタオルです。正確には覚えていないけれど、「organic / product」等のワードでウェブ検索したんじゃないかと思います。

奥さまのダイアナさん。普段はインターナショナルスクールの代表を勤めながら、「Cuddle Me」の仕事もパートナーとして一緒に育てている

ふたりでサイトを見て、直感的にいい! と感じました。

広告合戦が激しい香港において、オーガニックという言葉はまるで謳い文句のように使われています。でも、IKEUCHI ORGANICのそれは全然違いました。

タオルの原料だけでなく、100%の風力発電を含む製造オペレーション、ユーザーに「より長くタオルを使ってもらうための文化作り」までのすべてが、健やか。

僕には、昔から大好きで、大切にしているネイティブアメリカンの言葉があります。

We do not inherit the Earth from our ancestors; we borrow it from our children. ― 私たちは祖先から地球を引き継いでいるのではなくて、子ども達から借りているんだ

IKEUCHI ORGANICの良さを説明するのに、この言葉ほどふさわしいものはありません。

IKEUCHI ORGANICは、長く使うことも視野に入れた、持続可能性のあるモノづくりをしているーー。それは、僕たちが今まで出会ったプロダクトの中で、もっとも持続可能性を持つオーガニックプロダクトだったんです。

ぜひ、この商品とコンセプトを、香港の人々に紹介したい。商品を取り寄せて、使ってみて。やはりとても好きだったので、本社に問い合わせをして、日本・愛媛県今治市を訪れ、代表の池内さんにお会いする機会をもらいました。

そして、無事に輸入取引の快諾をいただいて。香港の地においてIKEUCHI ORGANICのタオルを広めるための事業の準備を、整えていったという流れです。

まずは香港の「ローカルコミュニティ作り」を

IKEUCHI ORGANICのタオルに出会ってから、約2年。現在、「Cuddle Me」は香港内の直営店2店舗と、シティスーパー等への卸売販売を手掛けています。

1店舗目は、「D2 Place」の店舗。香港中心部から電車で15分ほど離れた郊外にあるショッピングモールの一角に位置し、香港のローカルの人々が多く足を運ぶ立地にあります。

「Lai Chi Kok」駅を出てすぐの場所にあるショッピングモール「D2 Place」

「今治タオル」という名称は、香港でも一定の知名度を誇るのだという

「D2 Place」の店舗が目指しているのは、香港ローカルの人たちの心地よいコミュニティハブです。

IKEUCHI ORGANICのタオルに出会い、触れて、話して、集まって。そして暮らしの中に連れて帰れる、お気に入りのタオルを見つけられる場所。

香港の人たちは、トータルオーガニックで作られるタオルがあるということはもちろん、「目的や好みに合わせて、タオルが選べるものである」ということをまだ知りません。

僕は、「タオルには選択肢がある」「タオルを通じて、暮らしを少しでも心地よくできる」ことをお客さまに伝えたい。

また、「D2 Place」の店舗は、隣が子ども向けのプレイグラウンドのため、週末を中心に子ども連れの姿が目立ちます。

香港の子育て世代は、40代が中心。40代~60代は、香港においてオーガニックにもっとも関心の高い世代とされています。だから、彼らにはぜひ伝えたい。

でも、香港の人ってそもそも分かりやすいものが好きなんです。たとえば「カラーバリエーションが豊富」とか「ハローキティが付いている」とか「ビートルズとのコラボレーション」など。

だから、「オーガニック」を強調するより、まずはディスプレイを工夫して、タオルに注意を向けてもらう。そこから、日本生まれ、今治タオル、たくさんの選択肢があるんだよというところから、オーガニックについても説明させてもらう……。

今は、そんな流れが一番最適かなと思っています。

現在の一番人気は、「MOTTAINAI」とハローキティがコラボしたタオル「モッタイナイ×ハローキティ」。日本国内よりも香港の方が総売り上げ数が多いのでは?とエドワードさん

そうやって、IKEUCHI ORGANICを好きになってくれる人の輪を少しずつ広げながら、お店を育てていけたらいいなと思っています。

お店では、IKEUCHI ORGANIC以外のライフスタイルプロダクトも、合わせて紹介している

日本のIKEUCHI ORGANICストアに極力近づけたいと、看板や内装、音楽等も工夫しているエドワードさん。表参道店と同じ動画・音楽が流れていて、時折香港ということを忘れる雰囲気だった

IKEUCHI ORGANICの名前を広めるための、空港ポップアップショップ

とはいえ、一方で、知名度を上げる作戦も必要です。

「『D2 Place』の店舗とは別に、より多くの人の目に留まる場所への出店ができないか?」 

そう試行錯誤していた時、「D2 place」店がきっかけでIKEUCHI ORGANICを知ったという香港国際空港のスタッフが、「空港の期間限定出店に挑戦してみないか」と声をかけてくれました。

「もちろん挑戦してみたい!」と話を進め、実現したのがポップアップショップです。

出発ロビー2階中央に位置する「IKEUCHI ORGANIC Hong Kong by Cuddle Me」

期間は3ヶ月間限定。2019年6月~9月(現在は閉店)のポップアップショップですが、アジアを代表するハブ空港のひとつ、香港国際空港の出発ロビーのど真ん中ということで、行き交う人の数は本当に多い。

D2 Place店と違って、多くの人がフライト時間が迫っているため、立ち止まって商品についてじっくり話し込む、ということは難しいですが……。

とにかく「IKEUCHI ORGANICという名前と、商品を見かけてもらう」ことができます。

売り上げがいいのは、「オーガニックエアー」。やはり旅行と相性がいいのでしょう。あとは、香港限定商品もお土産やプレゼントとして人気です。

「ストレイツ220」に刺繍を施した限定商品。「喜喜」は中国圏で縁起が良いとされているダブルハピネスの意。ハレの日をイメージさせるカラーバリエーションも人気の秘密

昨今の香港の状態もあって、空港店は予想外の状況に陥ることもありますが、この出店のおかげで、他のショッピングモールへの出店の新しい引き合いも増えています。

「D2 Place」店とはまた別軸の目的を持つ、新しい店として有効に機能してくれていると思います。

これからも、IKEUCHI ORGANICの海外パートナーとして

僕がIKEUCHI ORGANICで一番好きな点は、やはり持続可能性を持っているというところ。そして、香港の人々のライフスタイルに、新しい選択肢を提示できる可能性を秘めているというところです。

正直に言うと、利益はまだ追いついていません(笑)。

もちろん、会社として収支バランスを取ることは大切ですから、2022年までにバランスがとれたらいいなとは考えていますが、お金のためだけにやっているわけではないので。

事業進捗に対して、「I understand.(わかっている)」とだけ答えて見守ってくれる池内代表の言葉に感銘を受けている、とエドワードさん

僕はIKEUCHI ORGANICのタオルの可能性を信じています。だから、僕自身が無理だと思うまでは、絶対に諦めない。

簡単な道ではないことはわかっています。あと2年かかるかもしれないし、5年かもしれない、10年かもしれない。

でも、達成できるまで続けていきますよ。この仕事に出会えて、本当によかったと感じています。

取材を終えて

「海を越えて、国境を越えたら、人間は何か、変わってしまったりするのだろうか?」。

長く海外を旅するライフスタイルを選んだ筆者が、旅のはじめの頃に、異国の地で抱いていた疑問です。

でも、たくさんの旅を重ね、国籍も文化背景も異なる人々と多く触れ合う中で、私は学びました。

「人間は、どこで生まれ育ったとしても、言語が違ったとしても、必ず通じ合える部分がある」と。

冒頭で申し上げた通り、今回エドワードさん夫妻を訪ね、事業とタオルに対する想いを伺い、私は改めてその想いを噛みしめました。

「海を越えたとしても、人は分かり合える」。

日本・愛媛県今治市で生まれたタオルが、香港の土地に生まれた人の心を打ち、そしてその輪が広がっていく。

そんなことが、他の国でも増えていったら、また新しい未来が開けていくのでは? と帰国便の空を見ながら、考えた筆者でした。

執筆/撮影:伊佐 知美/編集:藤村 能光

WRITER

ライター / フォトグラファー
1986年新潟県生まれ。横浜市立大学卒。三井住友VISAカード、講談社勤務を経てWaseiに入社。どうしても書き仕事がしたくて、1本500円の兼業ライターからキャリアを開始。現在は世界各国、日本全国を旅しながら暮らしています。とにかく旅と写真と文章が好き。

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