イケウチな人たち。

by IKEUCHI ORGANIC

好きな人たちと考える、これからの豊かさ

イケウチな人たち。について

お金が欲しいなら、お金を稼ぐな。新しいマネーを定義する

- 「eumo」新井和宏 -

お金に困っている時に、その壁を、どのように乗り越えていけばいいのでしょうか。

筆者である小松崎はなかなかお金が貯められず、パートナーに怒られたこともあります。生きていくためややりたいことへの一歩を踏み出すためにお金は必要だと痛感し、お金とちゃんと向き合おうとしていた時。株式会社eumo(ユーモ)の新井和宏さんに話を伺う機会を得ました。

それは、長年IKEUCHI ORGANICを支援し続ける「イケウチな人たち。」な新井さんにインタビューするためでした。新井さんはこれからの社会にほんとうに必要とされる会社に投資する鎌倉投信から独立し、昨年の9月に株式会社eumoを設立した人物です。

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これからはお金よりも信頼を稼げ。動いて人と出会い、築けた関係性こそ、長き人生を助けてくれる。人として成長できる。

インタビュー中、折に触れてはそんなふうなことを言い切る新井さんの言葉は、お金に困っている僕がこれから進むべき道筋を指し示しているようでした。

新井さんは目に見えない共感や信頼が資本になる「共感資本社会」の実現を、本気で目指しています。この記事では、eumo設立の背景にある、これから変化していくであろうお金とその付き合い方の話をシェアします。

本当に必要なお金はどれくらいだろう?

(以下、新井和宏)

今の社会はたぶん、お金に依存しすぎなんですよ。「お金がないと将来が不安だ」とか「生きていけない」ってみんな言う。

基本的にテレビを見ていればね、すごく美味しそうなものが出てくるじゃないですか。こういうものを食べるにはリッチでないといけないって感じでしょう?

食べ過ぎてメタボになるから「ダイエットしなさい」って、それでまたお金をとる。

老後は大変なことになるから「ちゃんと保険に入りなさい」「投資しなさい」とか、人をあおる。

本当に必要なお金ってそんなに多くないんです。にも関わらず、あおられているからお金をたくさん持っていなきゃいけないって思っている。

生きるのに必要な分のお金を使えばいいだけでしょう?

お金に依存しすぎない例をあげると、eumoが教育事業の実施を予定している島根県の海士町に住むと、ご近所さんから毎朝新鮮な魚が家の玄関に届いたりするわけです。コンビニもないから、むしろお金を使う場所がない。要は、島ではお金をたくさん持っていたって役に立たないわけですよ。

私はもうモノに興味がないんです。イケウチのタオルは買いますけど、それはイケウチのみんなのことが好きだから応援したくて買っているのであって、モノに興味はあんまりない。
自分の精神的欲求心が満たされると物質的欲求が下がるんですよ。

僕を満たしてくれるのは人だからね。素晴らしい人に出会うこと、一緒に仕事をすることが自分を満たしてくれる。

何が言いたいかというと、僕は関係性がお金とおなじ資本だと思っているんです。

お金に依存することは、お金だけが価値と捉えて効率的に稼ごうとしているってことでしょう? 関係性によって得られるものがたくさんあるにも関わらず。

素晴らしい人が周りにいたら、生きることに困らないですからねぇ。

僕はお金も財産もほとんどないですけど、新しい事業に失敗したとしても周りの人たちが食わしてくれるもんね。「支えてくれる」って言ってくれているから。

よっぽどその方が安心ですよ。いくらたくさんのお金を持っていても、そのお金は盗まれたら終わりです。そう考えると、じつは関係性の方が長く生きるためには大事なんですよ

もうお金の奴隷をつくりたくないんだよね。だから、新しいお金をデザインしにいきます。

いい会社を美しいまま持続させるために

IKEUCHI ORGANICの広報・牟田口武志

牟田口:鎌倉投信の設立から10年経って、まさかこのタイミングで新井さんが退職するとお聞きした時はびっくりしました。

そうだよね。鎌倉投信は創業の時から「上場・非上場に関係なくいい会社に投資する」って言ってきたわけです。いい会社は、上場・非上場に関係なく存在するからね。

現在は非上場の6社に投資していて、そのひとつがIKEUCHI ORGANICなんですけども。

イケウチはベンチャーキャピタル(以下、VC)からも出資を受けています。VCは上場を目的にしているので短期的に上場できない時、集めた資金の満期も来ちゃったし、株式を買い取ってくれという話になる。

株式の買い取り期限が9月末だったんです。その買取相手を探していたんですけど、結論から言うと、見つからなかった。しかも鎌倉投信では社債への投資しかできずにいるから、支援し続けるのは難しかった。

だったらイケウチの株式への投資ができる会社をつくろうと9月に立ち上げたのが株式会社eumoです。VCが持っているイケウチの株式を譲り受けることで、支援を続けていきます。

鎌倉投信にどういう役割で残るかとか色々あったんですけど、きっぱり分かれた方が対外的に怪しくないので、独立する形をとりました。役職や創業者利益がどうのとか、僕には興味がない。いい会社を美しいまま持続させるために、必要だと思うことをやっているだけです。

── 本当にありがたいなって思うところもすごくあるんですが、どうしてそこまで応援してくださるんでしょうか。

それはもう、好きだから(笑)。やっぱりこれからの社会に残したいか、残したくないかっていう基準はあるよ。それは鎌倉投信にいる頃と変わらない。

人に感謝されることをしている限り、稼がないでいい。それって素敵じゃない?

── eumoは鎌倉投信が支援している非上場の会社を支援する形になるんですか?

そうですね。イケウチさんもそうですけども、いわゆる社会のためにやられているベンチャー企業と未上場のいい会社を応援するっていう役割は担っていかないといけないね。

ただ、それだけじゃあダメ。

基本的にはお金だけで支援する金融機関なんてもういらないんです。いや、もう終わってるじゃないですか(笑)。

今は金融機関よりも上場企業の方がよっぽど好きに使えるお金を持っていますよ。というか、彼らはお金を使えなくて困っている。

我々は人もお金も全て揃う、なんでもできる金融的機能を持ちたいと思っていて、いい会社に人を派遣するし、当然ながらコミュニティー通貨的なことで支援することできるわけです。

僕らはいい会社を応援するために必要な仕組みを、新しい事業でつくろうとしています。

ひとつ目に「鎌倉投信で出来なかった非上場株式を取得して長期に応援する」っていうのをやります。将来的には上場からICO(Initial Coin Offering/新規仮想通貨公開)に変わっていくから、それを見据えて準備するつもりです。

ふたつ目に「必要とされる人財を育成する事業」もやります。いい会社が一番困るのは、結局人なんですよ。僕らは地域のソーシャルベンチャーと付き合いがありますから、社会課題が山積している地域と都市の人財をつなげます。そこで実際に働いてみてもらって、複業をやり始めてもらって、最終的にはライフシフトしていただくような仕組みをつくりたい。

3つ目は、我々や投資先の活動への共感という名のもとに、関わって楽しんでいただける機会をつくるプラットフォーム事業です。

具体的に考えているのは、新しいマネー「電子ポイントeumo」を使ってもらうこと。いい会社がやっている素晴らしい活動は、売り上げにつながらなければ持続できないんです。なので売り上げにつながる仕組みを電子ポイントでつくります。

新しいマネーの特徴は主に3つですね。ひとつは「腐るお金」。お金なのに貯められないお金です(笑)。ふたつ目が「面倒くさいお金」。ウェブ決済なんかもってのほか、人と人とが出会わないと使えないものです。3つ目が「色のついたお金」。どこの誰から手に入れたかわかるという意味で、色が付いています。

新しいマネーとはつまり、関係性がお金になるということです。

今考えているのは、eumoが投資している会社のボーナス時期に、追加で2万ポイントを渡してもらうこと。

そのお金はね、IKEUCHI ORGANICの池内代表とかに会いに行く仕組みになっていて、今治などの地域やお店に行かなきゃ使えない(笑)。半年で期限が切れちゃうけれど2万ポイントもあるんですよ。

すると奥さんは、「これは2万円相当でしょう。夏休みにどこか旅行に行くんだから、今年は今治に行きましょうよ」って言いだすはずです。

何百人かいるうちのひとりが足を運べばいいと思うんですね。そうすれば出会いがあるわけですよ。出会ってね、品物を買いますよね。

例えば、池内さんに会って写真を撮ってeumoのアプリ上でアップしたら、また1万ポイントをもらえちゃう。「じゃあ、また半年後に今治に行きますね」ってなるわけですよ。

「動いてください」っていうマネーをつくるんです。動いた人にお金が入り、動かなかった人はお金がなくなっていく。言い換えれば、お金を稼がなくても動いている限りお金になる。

すると学生とかがさまよい始めると思うんです。人が成長していくためには出会いが必要だから、素敵な大人たちに出会うためのお金、ですよね。

人と人とをつなげる機会を創出できる、新しいマネーを定義したら面白くない?

お金が紡ぐご縁みたいなものができるといいなと思っています。そのためにはお金が残っちゃいけないんだけど、人は貯められると貯めようとしちゃうんですよね。

だから、将来に対して不安がない状態をつくります。

やり方はふたつあります。ひとつはさっきから話しているように、関係性を資本にすること。歳を取っても障害を持ったとしても、社会のみんなが支えてくれるって思えれば、お金に過度に依存しなくていいわけです。

もうひとつの方法は、やっぱりそれでも不安になっちゃうので、期限のあるお金として動けば入るベーシックインカム制にすることですね。

将来的にこの仕組みがちゃんと回るようになれば、eumoポイントでベーシックインカムをみんなに配ります。

ただしベーシックインカムは基本的に自分で使えないお金です。つまり定期的に10万ポイントを受け取れるんだけど、そのポイントは人にしかあげられないんです。

人に感謝されることをしている限り、稼がないでいい。それって素敵じゃない? 素敵な社会をつくりたい。そのためにはすごく面白いお金をデザインする。

うちがそれでどう儲けるかっていうのは、まあ、お楽しみに(笑)。そういう仕組みがあった方がいいと思うでしょう? 

やってみた方が面白いと思うんです。テクノロジーで今、やれるんだもの。

eumo
執筆:小松崎 拓郎/撮影:木村 雄司/編集:藤村 能光

WRITER

1991年茨城県生まれ、ベルリン在住。フリーの編集者/フォトグラファー。「灯台もと暮らし」編集長、「もとくらの写真/現像室」オーガナイザー、オリンパスアンバサダー。

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