イケウチな人たち。

by IKEUCHI ORGANIC

好きな人たちと考える、これからの豊かさ

イケウチな人たち。について

正しさばかりを求めたらダメ。楽しむことを大切に。

- 「EVERY DENIM」山脇 耀平・島田 舜介 -

2019年1月。今治にあるIKEUCHI ORGANICの本社工場に、車体がデニム色に塗られたキャンピングカーが到着しました。

車から降りてきたのは、デニムブランド「EVERY DENIM(エブリ デニム)」を立ち上げた兄弟。

26歳の兄・山脇 耀平さんと、24歳の弟・島田 舜介さん

ふたりは、これからの生産と消費のあり方のヒントを求めて、イケウチのものづくりの現場を訪ねてきたのでした。

EVERY DENIMのふたりと、ふたりと一緒に旅をしている赤澤えるさん(写真右から5人目)、鎌田 安里紗さん(写真右から3人目)、池上 慶行さん(写真右端)。IKEUCHI ORGANICのスタッフと一緒に、本社工場前で記念写真。

この兄弟について簡単に紹介します。出身は兵庫県加古川市。仲の良い兄弟として育ったふたりは、学生時代に、たまたま縁あって岡山にあるデニム工場を見学に訪れます。そこで見た光景は、ふたりの心を大きく揺さぶりました。

1本1本を全て手作業でおこない、細かいところまで一切手を抜かない。一心不乱にものづくりに打ち込む職人たちの姿が、ふたりにはとてもまぶしく見えたのです。

ふたりが訪れた岡山にあるデニムの加工工場
写真引用元:https://camp-fire.jp/projects/view/27012

「職人が持っている技術や想い。そして、自分たちが経験したこの感情を、多くの人に伝えたい」

その想いから、2015年、オリジナルデニムブランド『EVERY DENIM』を立ち上げました。

EVERY DENIMに込めた想いを自分たちの声で直接伝えるため、山脇さんと島田さんはデニムを車に積んで全国各地を行脚。店舗は持たず、移動式販売というユニークな届け方を続けています。

そして昨年から、キャンピングカーで寝泊まりしながら、各地域の衣食住にまつわる生産者を訪ね、それぞれの想いや生き方を聞く旅を新たに始めました。

兄の山脇 耀平さん(写真右)、島田 舜介さん(写真左)。
写真引用元:http://neutmagazine.com/every-denim

その訪問先のひとつとして立ち寄ったのが、IKEUCHI ORGANIC

ふたりは、イケウチのものづくりの現場を訪れることで、ものづくりにとって大切なことに改めて気づいたと言います。

それは、つくっている人たち自身が楽しんでいるかどうか

つくっている本人たちがイキイキしていないと、つかい手は気持ちよく使えないし、その商品を人に伝えようとも思えない。

EVERY DENIMの山脇さんと島田さん。様々な生産者と訪ねてきたふたりに、イケウチのものづくりの現場を見た感想と、ものづくりにとって大切なことを聞きました。

「作り手」と「使い手」のつながりを求めて

── ようこそ、今治へ。おふたりは、これまで様々な地域の生産者を訪ねているんですよね?

山脇さん:そうです。2018年4月から、『えぶり号』と名付けたキャンピングカーに乗って、日本各地を旅して回っています。

島田さん:これまでに、伝統を継承しようと奮闘する若い職人や、既存農法の常識に縛られない農家など、熱い想いでものづくりをしている多くの人たちと出会うことができました。

写真撮影:Eru Akazawa

写真撮影:Eru Akazawa

写真撮影:Eru Akazawa

── そもそも、『えぶり号』の旅を始めた理由は何なんですか?

山脇さん:週末に各地を訪れてデニムの販売会やワークショップをしていたんですが、それだけだと、その土地のことを知ることができなくて、もどかしさを感じていたんですよ。

そこで、ちゃんと時間をとって、その土地に滞在しながら、そこでものづくりをしている人たちに会いに行こうと思いました。

僕ら自身も勉強になるし、僕らのことを面白がってくれる人たちに、旅先で出会った人たちの存在を伝えることで、新しいつながりをつくっていけたらと思って。

── 旅の報告会を開いて、出会った人たちのことを伝える活動をされてますよね。

山脇さん:まさに、つながりをつくるための活動のひとつですね。

島田さん:僕らが主催している『えぶりシティ』という、つくり手とつかい手の距離を縮めるコミュニティのメンバーに報告会をしています。このイベントは、一般の人も参加できるので、よかったら来てみてください。

写真撮影:Yumi Sudo

写真撮影:Yumi Sudo

── 旅を始めて、もうすぐ1年が経とうとしていますが、やってみていかがでしたか?

山脇さん:毎月1週間ほどの旅なんですが、この1年間を振り返ると、ほとんどの時間をえぶり号の中で過ごしたと思えるくらい、僕らの人生に刺激を与えてくれました。

旅を通じて出会った方々や、僕らの活動をサポートをしてくださった皆さまに、本当に感謝ですね。

良いモノをつくるだけでなく、込めた想いをどう届けるか?

── えぶり号での旅の行き先として、イケウチを選んだ理由は、何なんでしょうか?

山脇さん:今治はタオルの産地として有名ですし、同じ繊維を扱うものとして、今治でタオルをつくっている方にお会いしたかったんです。

そのなかで、IKEUCHI ORGANICは、『灯台もと暮らし』の記事で知って、僕らと価値観がすごく近いと思いました。なんというか、ただ良いモノをつくるだけでなくて、そこに込められている想いの届け方もすごく意識されている印象があって

島田さん:僕らも岡山のデニム工場をめぐる見学ツアーを行なっていますが、イケウチさんも、お客さんに工場を見てもらう機会を自分たちの手でつくっている。また、お店を構えて、商品への想いを伝える場をつくっているのも素晴らしいですよね。

それで、どういう考えが背景にあるのかを知りたいと思いましたし、実際のものづくりの現場を見てみたいと思ったんです。

── なるほど。そういう理由だったんですね。

山脇さん:そしたら、池内代表自らに案内いただいたので、びっくりしました(笑)。

島田さん:ほぼ一日つきっきりで、僕らを案内していただきましたね。

── ふたりは、これまで多くのものづくりをしている経営者や工場長と会っていると思いますが、池内代表はどう映りましたか?

山脇さん:一番感じたのは、すごく丁寧に教えてくださるということですね。僕らみたいな若者にも、とてもフラットに接してくださっていました。

島田さん:常にニコニコされていて、優しい語り口で話してくれるんですが、こちらが何か質問したら、質問した以上の答えを返してくれる。しかも、本音でズバッと言い切ってくださるのが気持ちいいというか、嬉しかったです。

── イケウチのものづくりの現場をみて、ユニークさを感じたところはありますか?

山脇さん:僕は何と言っても、イケウチで働いている人たちの暖かさ。安全面への気の配り方とか、色々あるんですけど、一番はこれですね。

池内代表をはじめ、たくさんの方が時間をとってお話くださって、それがすごくありがたかったです。

島田さん:本当そうですね。僕らの迎え入れ方がすごく暖かかったです。

山脇さん:特に、事務所に「ようこそEVERY DENIMさん」みたいなボードが貼ってあったりして、これには驚きました。

島田さん:イケウチのみなさんが、仲良さそうにしているのも、すごいいいなと思いました。いつもの様子が透けて見えるというか、普段から仲が良いんだろうなと感じました。

生き方や人柄といった、つくり手の人間としての部分を感じたい

── ふたりの話を聞いていると、すごく人を見ている感じがしますね。

山脇さん:そこは見てますね。すぐに何でもモノが買える時代に、あえて何かを選ぶという際には、機能性・デザイン・価格も大事ですけど、誰から買いたいかという基準も大切になってくると思うんですよ。

つくっている人たちの考え方が好きだから選ぶとか、想いに共感するから買うとか。

山脇さん:そういう時代に、ものづくりをするということは、良いものをつくるだけではなくて、自分たちの姿勢を知ってもらうが重要になってくるはずです。

そして、それは単純に生産現場を見てもらうだけじゃなくて、生き方や人柄といった、つくり手の人間としての部分を感じてもらうことが大切だと思います。

── なるほど。そういう理由で、人としての面を見ていたんですね。

山脇さん:実際に、イケウチの皆さんと触れ合ったことで、イケウチさんにより強く魅力を感じましたからね。

島田さん:僕もそうです。挨拶ひとつとっても、工場長や社長さんはできても、職人の方々まで元気よく挨拶することはなかなかできません。イケウチの皆さんと接していて、なんだか工場全体に迎えられているように感じました。

── ふたりから見て、このカルチャーが生まれた要因はなんだと思いますか?

山脇さん:そうですね…。色々あると思いますが、まずは会社全体で、「どういう価値を世の中に出していきたいのか」というビジョンが共有できていることが大きいと思います。

島田さん:様々な工場を見てきて思うのが、どうしても目の前の数字に追われてしまうことが多いんですよ。もちろん、現在の売上をつくるのは大切ですが、そこばかりになってしまって、その先になかなか目が向いていないというか。

でも、イケウチさんは「最大限の安心と最小限の環境負荷」という理念に基づきながら、『2073年までに赤ちゃんが食べられるタオルを創る』というビジョンに向かって、ブレずにやり続けているのがスゴい

山脇さん:そういう姿勢があるからこそ、地元の人だけでなく、地元の外や、繊維業界の外からも、ユニークな人たちが社員として集まってきているのだと思います。

そして、そういう人が集まってきているから、常識に縛られないこと面白いことが実現できているのかなと。そこがカッコいいと思いますね。

ものづくりにおいて、つくっている本人たちの感情が一番大切

── イケウチのものづくりの現場を見てみて、これからのEVERY DENIMに活かせそうと思えることはありましたか?

山脇さん:めちゃくちゃ、ありましたね。特に、楽しくやることの大切さを改めて感じました。

── 楽しくやる大切さですか?

山脇さん:はい。僕らは、製造や流通、販売の過程で自然環境や労働環境に配慮することが大切だと思っていますし、そういう活動をしている人たちを心から応援していきたいと思っています。

一方で、「環境にいいから買って」とか「社会的に意義があるから応援して」みたいな感じで、正しさを押しつけるようなことはしたくないんです。

楽しいから工場見学やイベントにきて欲しいし、欲しいと思えるものだから商品を買ってもらいたいんですよ。

── なるほど。

島田さん:例えば、『服のたね』という企画を、僕らのコミュニティ『えぶりシティ』で行なっています。これはコットンの種が服になるまでの過程を共有して楽しむプロジェクトです。

参加した人たちに種を渡して、生育状況をオンライン上でシェアします。そして育った綿を回収し、紡績を行い、最終的にシャツにするんですが、その過程を全てメンバーに共有し、服をつくる生産過程に親しんでもらうというものです。

『えぶりシティ』では、このようにコットンの生育状況をメンバー同士が報告しあう。

山脇さん:服ができるまでの過程を言葉で説明されるより、自分が手を動かすことでわかることって沢山あると思うんですよね。

それに、種に毎日水をやったりする体験や、それをメンバーと共有するこ自体がすごく楽しいんですよ。コットンを育てるのって、意外と大変なんですけど、その苦労をみんなで共有できるから面白い(笑)。

── 確かに、大変そうだけど、楽しそう(笑)。

山脇さん:でも、こうやって体験してみることで、「コットンを大量に生産するのって、すごい」とか、「これを無農薬で育てるのは大変だな」とか、想像できるようになりますよね。

こんな風に、入り口はユニークで楽しくありたいんですよ。その中で、何を感じるのかは、受け取る人の自由。正しいことを言っているから選んでもらえるんじゃなくて、楽しそうにしているから選んでもらえる存在でありたいと思っています。

島田さん:そして、それはイケウチさんも同じだと思いました。オーガニックを押し付けないというか、楽しんでオーガニックをやっているのかなと。

環境のことも考えていると思いますが、それより「自分が好きだからやってます」という感じなんですよね。だから、イキイキと自分たちのことを話すのかなと思ってて。

山脇さん:そういう姿を見て、自分自身がまず楽しむということが一番大事だと改めて思いました。

やっぱり、つくり手がイキイキしていないと、使い手も気持ちよく使えないし、そんな商品を他の人に薦めようとも思えないじゃないですか。

── ものづくりにおいて、つくっている本人たちの感情が一番大切なのかもしれませんね。

山脇さん:そうなんですよ。正しさはもちろん大切だと思いますけど、一番大事なのはつくり手の人たちが、自分たちのものづくりを楽しいと思えるかだと思うんです。

ファッションは本来楽しいもので、モノをつくることも、売ることも、買うことも楽しいはずなんです。だから、正しさを中心に置きすぎないほうがいいと思いました。

大事なのは、何よりも、自分が楽しくあれることだと信じています。

島田さん:もちろん、ものづくりをしていると大変なことも沢山あります。でも、せっかくやるなら楽しい方が良い。

それに、色々な人と出会うなかで、僕らの周りにいる人には、イキイキしていて欲しいし、楽しんでいて欲しいという気持ちもあります。

だから、僕らは楽しく巻き込んでいくし、これからも楽しくやっていきます

EVERY DENIM
執筆・写真:井手 桂司/編集:藤村 能光

WRITER

1984年、熊本生まれ、埼玉育ち。ブランドエディターという肩書きで、企業の持っている物語を多くの人の心に届けるお手伝いをさせていただいています。オーガニックそのままに個性的なIKEUCHIの人々がチャーミングで大好きです。IKEUCHI ORGNIC 公式 noteの編集も担当しています。

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